発達障害の「パステルゾーン(グレーゾーン)」は、発達障害の特性が見られるが、診断がつくための基準には達していない状態を指します。医学的な診断名ではなく、あくまでも通称になります。
診断がつく基準に達していないという状態ですが、抱える問題や症状が軽いという訳ではありません。パステルゾーン(グレーゾーン)ならではの悩みが存在するのは確かです。
このページでは、発達障害のパステルゾーン(グレーゾーン)について解説していきます。
発達障害におけるパステルゾーン(グレーゾーン)には、明確な定義は存在しません。知的障害などを判定する基準(DSM-5)には「保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診の子ども」と記されています。
具体的には、医学的な診断基準を全て満たしてはいないけれどいくつかの発達障害の特性を持ち、日常生活を送るうえで困難を抱えている、という定型発達と発達障害の間の境界領域を指す俗称が「パステルゾーン(グレーゾーン)」なのです。
幼少期にパステルゾーン(グレーゾーン)と言われたが、その後年齢を重ね困りごとが増えたり特性が顕著になってきて改めて発達障害の診断名がつくケースも見られます。それでも発達障害の診断がつかず、「軽度、傾向が見られます。」といったあいまいなところでパステルゾーン(グレーゾーン)のままのケースもあります。
はっきりとした診断がつかないので、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳の交付はなく、福祉や教育の支援の対象にはなりませんが、パステルゾーン(グレーゾーン)ならではの悩みや問題ごとがあります。こういった手帳の交付がなくても受けることのできる公的支援の利用をすること、学校や職場での周りの方々への理解や協力をお願いすることなどで生活のしやすい環境を作っていくことが大切になってきます。
発達障害のパステルゾーン(グレーゾーン)によく見られる特徴や症状にはどのようなものがあるのでしょうか。一人一人違った症状が出ることや、どんな環境・場面で症状が強く出るかも異なるといったことがありますが、多く見られる特徴や症状について解説していきます。
主な発達障害では下に記したような特徴が見られますが、パステルゾーン(グレーゾーン)の症状は、これという特有の特徴や症状は決まっていません。どの発達障害の傾向を持ち合わせているかによって、診断基準を満たさないまでも特徴や症状の一部が見られます。
パステルゾーン(グレーゾーン)では、上記のような発達障害の傾向がある、という表現で説明を受けることがあります。だからと言って特定の症状が強く出るという訳ではありません。それぞれの持つ特性の程度や現れ方は、体調や環境などによって左右されるという特徴があります。例えば、家で落ち着いた環境にいると症状は弱く、学校では症状が強く出てしまうケースなどはよく見られます。
多くの親や子育てに関わる大人は、子供が良いことをしたら褒め、間違った時にはしかり、時には諭すことが普通の子育てだと認識しています。しかし、発達障害のパステルゾーン(グレーゾーン)の子供の子育てはなかなかうまくいかず、気が付くと朝から晩まで怒ってばかり…同じことを何度注意してもまた繰り返してしまう…と悩んでいる方も多いのが現状です。
発達障害のパステルゾーン(グレーゾーン)の子供の子育てにはいくつかポイントがあるようです。パステルゾーン(グレーゾーン)であることを個性ととらえ、伸ばしていくには、「個性を理解すること」と「環境を整える事」が重要になってきます。では具体的にどのようなことなのか、ご紹介していきましょう。
まずは、一人一人の子供の特徴や個性を具体的に考えてみましょう。ネガティブなことはいつも気になっていることが多く、スラスラでてくるかもしれませんが、良いことも見つけてみてください。その他、良い悪いではないけれど、他の子とは違うなと感じることや好き嫌い、集中して取り組むことなどもできるだけ具体的に沢山挙げていってみてください。
周りの大人がまずその子の個性を理解し、どういったことで日常生活や集団生活で困っているのかを分析し、解決策を考えてあげることが必要になってきます。
具体的に個性を挙げられたら、次に分析をしてみます。まずは日常の困っていることから。例えば、Aちゃんのケースの場合。何度同じことを注意しても繰り返してしまい、話をちゃんと聞いていないからだと怒られます。話は聞いていますし、言葉は理解できていて、注意した時は正すことができる。なのに「なぜ?」なのかを考えてみました。
Aちゃんは、道路標識が好きで沢山覚えていて、交通ルールはしっかりと守ります。「あぶないから」と注意されたことは耳からだと抜けていってしまいますが、「とまれ」の標識があると止まります。耳よりも目から情報が多く入るタイプなのではないかと分析し、日常生活で注意すべきことはイラストや簡単な言葉で貼ってみることにしました。すると失敗を繰り返す頻度がぐっと減り、お互いのストレスも軽減できたそうです。
このような日常の環境を整えてあげることで解決するケースもあれば、集団生活が苦手で、授業を教室で集中して受けることができずに立ち歩いてしまう、といったケースもあります。
ひと言で環境を変えると言っても、すぐにできることとできない事はありますが、具体的に分析していくことで、無理にできないことを強いるのではなく個性を伸ばしながら解決策を導いていくことができます。周りにいる大人が特性や個性を正しく理解してあげることがまず一番に大切なことなのです。
ここでは学童保育や塾選びのポイントについてご紹介していきます。
通おうとしている学童や塾は、環境が合っているかどうかを確認するようにしましょう。リサーチは大切です。体を動かすのが好きな子なら運動するスペースが十分にあるかどうか、騒々しいのが苦手な子なら利用人数の確認など子供の特性に合わせてチェックポイントをしっかり見ていきます。見学に行ってみて確認するのが良いでしょう。
同じようなタイプの子を受け入れた実績があるのかどうかなど、実際に先生に問い合わせをしてみましょう。どういったトラブルがあったときにどのようなサポートを行ったのかなど、積極的に聞いてみることが大切です。
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