このページでは、WISC検査について解説しています。
今のお子さんがどのくらい発達していて、どんなことが苦手であるのか。それを知るために発達検査があります。
子ども向けの検査では、新版K式発達検査や田中ビネー知能検査も一般的ですが、「WISC検査」では、その子の得意・不得意が細かく数値として現れます。
特性を客観的に把握することで、これからの学校生活や放課後等デイサービスなどの療育の現場で活かすことが可能です。医療機関や療育センターなどで受けられます。
WISC検査は、年齢により検査内容が分かれており、5歳~16歳11か月の子どもは60分ほどの検査(WISC検査-4)が個別で行われます。
5歳~16歳11か月の子ども向けの検査では、「言語理解」「知覚推理」「作業記憶」「処理速度」の4項目ごとに数値が出て、総合的なIQも知ることができます。これが高いか低いかによってお子さんの苦手な分野を知ることが可能です。それぞれの項目の数値に開きがありすぎるのも問題です。凹凸の差が大きいお子さんは、生きにくさや辛さが出やすいと言われています。
この発達検査は幅広い項目に答える必要があるので、お子さんの緊張や疲れも出やすいです。検査日は余裕をもったスケジュールを配慮するとよいでしょう。この検査だけで発達障害が診断されるわけではありません。この結果をもとに医師と話し合います。お子さんの成長をしっかり把握してあげるために活用しましょう。
細かく数字が出るWISC検査を受けたら、その結果を踏まえた環境づくりが大事となります。お子さんの得意分野、苦手分野を把握した上で、療育に活かしてくれる放課後等デイサービスを選ぶことがおすすめです。放課後等デイサービスの中には、こういった検査結果をもとにプログラムを考えてくれるところもあります。
WISC検査の費用は検査をお願いするところによって異なります。大体の相場は10,800円〜15,000円くらいみたいですね。少しでも安く検査をしたいという人は安いところを探してみてはいかがでしょうか?WISC検査はどこで検査を受けても検査方法も結果も同じです。高い安いは個人の判断ですが、我が子の将来を左右する検査なので慎重に選んでみてください。
WISCの適用年齢の範囲は5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月となっています。が、ちょっと他の子と違うな…と不安を抱えた時が検査を受けるタイミングといっていいでしょう。他の子と違うなぁと思いながら他の子と同じように躾したり、教育したりすることはその子にとってもマイナスにしかなりません。「他の子はできるのになぜうちの子はできないの…」と悩んでいる親御さんも大勢いらっしゃると思います。
もしかしたらそれは物を認知するスピードや行動性にバラつきがあるためかもしれません。他の子と同じことを押し付けることはお子さんにとって辛いことかもしれません。
「ちょっと違うな…」と不安を感じたらまずはWISC検査を受けてみましょう。もし、問題なければ安心材料になりますし、もし、問題があったとしてもその子にあった教育方針に切り替えサポートしていくことができます。不安を抱えたままではお子さんも親御さんも苦しいままです。「ちょっと検査をうけてみる」その少しの勇気でお子さんも親御さんも過ごしやすい環境が見出せるかもしれません。
WISC検査の目的は「何が得意で何が不得意なのかを明確にすること」です。何が得意で何が不得意なのかを明確にすることでその子にあった躾や教育を施すことができます。
<男児のWISC検査>
IQ70~130の間に約95%の人が収まるとされているので、男児のIQは平均値内におさまっているといえます。では、何が問題なのか。それは、「処理速度」118と「知覚推理」 94の25違う落差です。処理速度は数字や図形などの問題に対し、時間内に処理(回答)することができるかをみる検査。
検査対象となった男児はカードに描かれた情報を正確に覚えることができ、単純な視覚情報を処理し識別する処理速度の能力が高いため、やり方や終わりがわかる作業は得意であるという結果がでました。このことからお母さんは言葉ではなく、文字で簡潔に説明するとストレスなく意思の疎通ができるようになったそうです。
WISC検査で最も数値の低かった知覚推理は積み木に描かれている模様や絵の概念を理解することができるかなど、視覚情報を頼りに推理したり、空間認識したりする能力をみる検査です。男児の場合は視覚情報が具体的だと簡単に理解できるようですが、情報が抽象的なものだと理解しづらいという結果に。
たとえば、口頭でたくさんのことを指示される。周りの状況を見て自分の行動を決める。自分で考えて行動する。といったことが苦手分野になるようです。
これは知覚推理能力が低いために起こるもので、状況をみて推測し動くというのが難しく、何度も確認をとってしまいがちです。男児の状況をわかっている人ならいいですけど、知らない人だと「さっきも言ったでしょ!」となりかねませんね。
男児のお母さんはこの状況から「息子は自分で判断するのが難しく、彼の世界は不安だらけ」だったのだと理解することから始めようと思ったそうです。このお母さんのように検査結果を結果として捉えるだけでなく、息子さんがより過ごしやすいように一工夫してあげるのもWISC検査のよい使い方だと言えるのではないでしょうか?
今回調査した放課後等デイサービスの中で、WISC検査を得意とし、その結果を療育に活かしている施設がありましたので紹介します。
この教室では、WISC検査を行うことができます。居心地のよい教室内で検査するので、医療機関よりは子どもが緊張しにくいと思います。
発達の様子に詳しい心理カウンセラーがいて、お子さんの個性を理解してもらえます。さらに、検査をするだけでなく、その結果を考慮して個々の指導計画に活かしてもらえます。ひとりひとりの発達の度合いや性格の偏りで指導を変えていくことが有効なのです。